妄想する頭 思考する手
著 : 暦本純一
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スマートスキン (いわゆるマルチタッチインターフェイス) を発明した筆者が、妄想を出発点にしてアイデアを実現していく方法について説明
妄想 → 言語化 → 試行錯誤 (ピボットなども含む)
新しいアイデアが生まれやすい環境についても
内容メモ
著者の発明 : スマートスキン、マルチタッチ、人間拡張
妄想しているときには、それが新しい発想だとは思ってないことも多い → 妄想から新しいことを生み出すにはコツがいる
頭の中の妄想を手で思考する
序章 妄想とは何か
イノベーションのスタート地点には、必ずしも解決すべき課題があるとは限らない
非真面目
課題解決型の真面目なやり方だけでは予測不能な未来に対するイノベーションは起こせない
妄想 = やりたいこと
1 章 妄想から始める
筆者の研究分野はヒューマンインターフェイス、あるいはヒューマンコンピュータインタラクション
笑わないと開かない冷蔵庫
表情フィードバック仮説
ふつうの考えは面白くもないし新しくもない
アポロ計画のフォン・ブラウン : 「月に行きたい」 という願望
ブレインマシンインターフェイス
既に脳で文字入力したりする技術は開発済みだし、イーロン・マスクや Facebook が脳に埋め込むマシンの開発を目指したりしている
その先の世界を妄想 : 脳と脳が繋がってネットワークを形成
「素人のように発想し、玄人のように実行する」
天使度 (発想の大胆さ) と悪魔度 (技術の高さ)
2 章 言語化は最強の思考ツール
チームで取り組むためには他人に妄想を伝える必要
本人も妄想についてはっきりとわかっていないことも
→ 言語化
「やりたいこと = クレーム」 を 1 行で
クレームあくまでは仮説
nobuoka.icon 『イシューからはじめよ 知的生産の 「シンプルな本質」』 におけるイシューと似てる
「必要は発明の母」 だが 「発明は必要の母」 でもある
料理と同じく素材が大事 → クレームが重要
nobuoka.icon 『イシューからはじめよ 知的生産の 「シンプルな本質」』 の犬の道の話だ
素材の良し悪しをはかるために、あらすじを書く
nobuoka.icon ストーリーラインを書くのに相当しそう
決着をつけるための最短パスを考える
オズの魔法使い法
早ければ早いほど多くのアイデアを試せる
3 章 アイデアは 「既知 × 既知」
好きなものを複数組み合わせて妄想の幅を広げる
既知と既知の組み合わせ
ブレインストーミングには懐疑的
マインドマップやマンダラートも
良いアイデアより、その場でウケるアイデアが出されがち
多数決や合議制でアイデアを決めることはできない
アイデアは尖ったものだから
孤独なプロセスが必要
アイデアの責任を負うのは、それを思いついた個人であるべき
どこかで責任を負う個人の孤独なプロセスを入れるならブレストも効果はある
集団での議論はインプットを増やすことに向く
みんなが知らなさそうなことを共有する、など
自分の既知と誰かの既知をかけ合わせる
M2 病
4 章 試行錯誤は神との対話
同じアイデアを他の人が出せたとしても、乗り越えられるのは自分しかいないかもしれない
1 回やってみて失敗するぐらいのほうがやりがいのあるアイデア
失敗は課題の構造を明らかにするプロセス
人は失敗を嫌う
認知的不協和 (すっぱい葡萄)
スピード感が大事 : GAN の話
眼高手低 : 理想は高く、手を動かしていく
手を動かし続ける才能
失敗を繰り返しながら手を動かし続けるのは神との対話
手を動かしながら神に 「こうですか? それともこうですか?」 と問い続けていると、ひらめきを与えてくれる
nobuoka.icon 『スーパーエンジニアへの道』 にもこういう試行錯誤の話があったな
5 章 ピボットが生む意外性
自分のアイデアは可愛く思えるので、うまくいかなくても諦めにくい
認知バイアスがかかっている
コンコルドの誤謬 (コンコルドの錯誤)
アイデアを完全に捨てるのが惜しいなら眠らせる手もある
ピボット (方向転換) する手もある
スマートスキンの例
Traxion の例
振動で誘導する発想から、仮想力覚に
アジレント・テクノロジー社のケース
プリンターのセンサー技術をピボットして光学マウスに
トレードオフのバランスを崩す
プリンターのセンサーは解像度を落として高速に
広角視野 HMD では、周辺視野を荒くすることで広角を実現
この発想は、エクストビジョンにも
そもそもの目的を忘れないように
椅子の形にとらわれるのではなく機能をとらえる
イナーシャ
6 章 「人間拡張」 という妄想
筆者の妄想の土台 : 人間拡張
機械を取り込んで人間の概念を広げる
ヒューマンコンピュータインタラクションはヒューマンコンピュータインテグレーションと言っても良い
SF の思考
テレプレゼンスの源流のひとつは 『ウォルドウ』
『サイボーグ 009』 がサイボーグという言葉を日本に広めた
超能力を技術で実現する
ESP (超感覚的知覚)
コンテクストウェア
AR (拡張現実)
ナビカム
ヒューマン AI インテグレーション
ソット・ヴォーチェ
終章 イノベーションの源泉を枯らさない社会へ
カメレオン・マスク
周りは意外と受け入れるし、代理人はやりがいを感じる
自由意志を捨てるのは意外と楽しい
人間ウーバー
「選択と集中」 という考え方には、未来を予想できるという奢りがある
それでは、予想できない未来を開拓することはできない
大きなブレークスルーを起こした深層学習 (ディープラーニング) も選択と集中では生まれなかったかもしれない
日本では新しい技術が受け入れられにくい
安全性最優先で規制が多い
200 g 以上のドローンを自由に飛ばせない
技術は使われることで改良される
世界にはサイボーグ化を趣味にしている人もいる
ボディハッキング (Body Hacking)
とにかく手を動かして試してみる
かつての炭鉱にはスカブラと呼ばれる人がいた
平時はブラブラしているが、問題発生時には周りを助ける
こういう存在が集団全体を強くするのでは?
かつての Google の 20 % ルールも一種のスカブラ
from TOPPOINT 2021 年 4 月号
スマートスキン : マルチタッチインターフェイス
どの分野でもイノベーションが求められるが、義務感で新しいことを考えるような風潮に違和感
新しいアイデアを考えるには妄想が大事
「素人のように発想し、玄人のように実行する」
妄想を形にするためのツール : 言語化
モヤモヤした妄想を実行に移すには、思考を整理する必要
「何をしたいか」 「なぜやりたいか」 を明確に
やりたいこと (= クレーム) を 1 行で言い切る
言語化した思考に決着を付けるための最短パスを考える
クレームに早く決着が付けられれば、それだけ多くの考えを試せる
アイデアの源の妄想は 「自分のやりたいこと」
既知と既知の掛け合わせで未知のアイデアに
ブレインストーミングには懐疑的
良いアイデアより、その場でウケるアイデアが出されがち
良いアイデアは個人プロセスが重要だが、それを集団でやろうとしている
集団での議論は個々のインプットを増やすことに向いている
「皆が知らなそうな話」 と 「なぜそれを面白いと思ったか」 を共有する会をしている
試行錯誤は神との対話
失敗が重要なのは、自分が取り組んでいる課題の構造が明らかになるから
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